冬虫夏草で認知症を予防するなら養蚕イノベーションのバイオコクーン研究所
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[2020.12.09]

更木ファームの取り組み「人と環境に負担をかけない養蚕」

北上市更木地区にある当ファームの養蚕施設では「人と環境に負荷をかけない養蚕」を実践しています。体的な技術事例を5つ紹介します。

使いやすい桑園造成

養蚕作業の2分の一を占める桑園作業労力の軽減は大変重要です。

しかし耕耘や除草は機械で行うことができますが、桑を収穫後、トラックに積み込む作業はいまだ人力に頼っている状況です。実は桑の枝を切る作業はそれほど大変ではありません。剪定はさみ(電気式もあります)で切って、重さを利用して一か所に置き、束ねる。しかしそれを狭い畝間を歩いてトラックまで運搬するのが大変です。ここは多少植え付け 本数を減らしてでも畝間を広くして奥までトラックが入ることができる桑園をつくり、直接トラックに積み込めるようにすると過重な搬出作業が軽減化できます。

作業負荷を軽減する機械利用

春発芽前に前年の枝を切って桑の株を整えることを春切と言い、枝の太さが2cmを超えることもしばしばあります。こうなると男の握力でも剪定はさみで切るのは難しく、無理をすれば手の筋肉を傷めてしまいます。かといってのこぎりで切るのも効率が悪く疲れます。枝の配置によっては不自然な姿勢ではさみを使うと疲れが倍増します。こんな時に電気剪定ばさみが抜群の力を発揮します。弁当箱ほどの電池を背負いボタンを押せば面白いように枝が切れます。一度充電すれば2日くらいは十分に使えるので採桑作業の強い味方です。

安全な飼育環境

蚕室(蚕を飼育する建物)・蚕具(飼育に使用する道具)の消毒には長くホルマリンが使われてきました。防毒マスクを装着してのホルマリン液の散布はきつい作業であり、人への刺激も強く有毒です。その後、ホルマリンをガス化して無人状態で噴霧する技術が開発されましたが、現在はホルマリンそのものの使用が規制される状況となっています。当ファームではホルマリンを使わず、それに代わる安全な防疫対策を採用しています。

ITの活用

蚕は繊細な生き物で、常に餌や飼育環境を管理する必要があります。当農場では、インターネット経由の無人カメラ・温湿度計を使い、離れた場所から常に飼育環境をモニタし、桑の加減や温湿度を調整することができます。

資源循環

これまで枝などの飼育残渣は、束ねて蚕室の外に運び出し焼却等により処理されてきました。中腰での桑枝の結束作業は作業者への負荷が大きく、また結束した枝は取り扱いが不便で作業効率化のネックの一つです。しかし桑枝は有用な資源であり、当ファームでは、その場でチッパーを使って9mm以下に細断しフレコンに詰め込み、機械で搬出し桑園に還元することにしました。

これらを実践することで、新規参入養蚕農家の育成と支援を行っています